長く走れて、安心して使えるバッテリーの条件とは?
電動モビリティで人気の“大容量バッテリー”ですが、その一方で発熱・膨張・発火といったリスクも指摘されています。
実はこれらの多くは、バッテリー内部の構造設計に原因があります。FreeMileはバッテリーを含む製品開発をゼロから行うメーカーとして、ユーザーに正しい安全への知識を届ける責任があります。
本記事では、長く走れて安全に使えるバッテリーを選ぶために、メーカーだからこそ分かる“構造の落とし穴”と、購入前に知っておきたいチェックポイントを分かりやすく解説します。
大容量化することで内部構造が複雑に

容量を増やそうとすると、内部のセル(円筒系の乾電池のようなイメージ)が増えていきます。
このセル数が増えると、内部は密集しやすい状況になり、熱や振動、膨張への耐性が下がってしまうのです。
バッテリーの安全性は、このセルの配置や固定、密集しないようにするための余白の作り方で変わっていきます。
セルを密集させたバッテリーの問題点

セル同士が密接すると熱がこもりやすくなってしまうのが特徴です。内部に膨張の余裕がなく、構造的な負荷が蓄積しやすくなり、さらに緩衝材が不足していると、振動で内部部材が損傷しやすくなります。
内部のセルの表面は電極になっていて、その上に絶縁材のようなものが巻いてあります。固定や配置があいまいだと、振動や落下で擦れ、破れて電極同士が触れ合う可能性も。プラス極とプラス極が触れる状態になり、最悪の場合は発火を引き起こします。
コストを優先した比較的安価なバッテリーにこの傾向が多くなっているのが現状です。
バッテリーのセルは、一般的に「18650セル」や「21700セル」が使われています。「18650セル」が90%ほどのシェアとなっていますが、このセルで長距離航続を可能にするためには多くの本数が必要になります。
一方で「21700セル」は1本あたりの容量が大きいため、必要本数は前者に比べて少なくなり、内部に余白を作りやすくなります。ただし、これは電気自動車「テスラ」と同じものになるので高級品です。
ちなみに当社のaticoはこれを使っています。
「18650セル」で長距離をうたう製品は注意が必要です。大量の本数を詰め込み、長距離航続を可能にしているため、詰め込み構造になっている可能性が高いです。特に「18650で長距離なのに安価」という場合は内部構造にリスクがあります。
発熱トラブルが起きるワケ
電動自転車のバッテリーだけでなく、スマホやモバイルバッテリーが膨張・発火し火事を引き起こすケースは少なくありません。猛暑の夏だけではなく、乾燥した冬も特に注意が必要です。こうしたトラブルの多くは「落下」から始まります。
バッテリーに落下などの強い衝撃が加わった場合、その外観に変化はなくても、セルの配置のずれや内部部材が損傷し変形してしまうケースがあります。
恐ろしいことに異常は落下直後ではなく、数日〜数週間後に表面化しやすいのも特徴です。これは熱や振動、膨張の繰り返しで衝撃時の微細なダメージが蓄積していき、徐々に悪化していくためです。
「落としたけど問題なく動く」、この状態が一番危険と言えます。
日本ブランドでも発火事例は多く存在

「日本製のバッテリーなら安全!」というイメージがありますが、国内メーカーで、これまでに多くのリコール対象になったケースがあることに注意が必要です。
あるメーカーの2012年10月から15年1月までに製造されていた電動アシスト自転車バッテリーは約34万個がリコール対象に。原因はセル外部への湿気侵入による過熱や発火の恐れでした。また海外でも同様の可能性があるとして各国で回収されています。
「国内ブランド=安全」ではなく、内部構造やセル管理、製造などのいずれかに問題があれば事故は起きてしまうのです。
容量の大きいバッテリーは「長く走れる」という利点から人気があります。内部構造にまで目は向きにくいですが、購入後のさまざまなトラブルを避けるためにもどれだけ丁寧に作り込まれているかどうかまで意識してみてはいかがでしょうか。
FreeMileは、開発から一貫して関わることで、ユーザーが安心して使える電動モビリティを提供しています。安全性と航続距離のどちらも妥協したくない方には、当社の「evuco」「atico」がおすすめです。

